国務院

国務院(Conseil d’État)は、政府が法律案や政令案 などを準備する際に、
政府から 諮問を受けて答申します。また、法に関わる問題について、政府から求められた場合は、意見を述べます。
さらに、政府からの要求に応じ、又は自ら率先して、行政問題や公共政策に関する問題について研究を行います。
国務院は、行政最高裁判所の機能も有しています。国務院は、国、地方公共団体、
行政施設などの行為に対する最終審裁判所です。
これら二つの役割(勧告と裁判)によって、国務院は、フランスの行政が、法に従って適正に行われることを保障します。

さらに、国務院は、第一審行政裁判所と行政控訴院を統括して管理する権限も持っています。

政府に対する勧告

毎年、110 の法律案、900 の一般規制政令案、
300 のその他の政令案に対して勧告します。
国務院は、内政部、財政部、公共工事部、社会部及び行政管理部(2008 年創設)の 5 つの専門部において、政府に対する勧告者としての役割を果たします。
報告担当者(rapporteur)は、資料を収集し、案件の調査研究を行います。
政府委員(commissaire du gouvernement)は、関係省庁を代表して、国務院に対して、対象となる法律案や命令案の射程範囲、起草の状況及び選択の理由について
説明します。法律案などは、それぞれの部での審査に付され、修正点について討論され、投票により決定されます。

各部門での審査の後、大部分の法律案・命令案については、副長官が主宰して全評定官(conseiller)が一同に会する合同会議の審査に付されることが義務付けられて
います。
ごく一部の例外を除いて、国務院の出す勧告は、政府を拘束するものではありませんが、実際のところ、政府はほとんどの場合、国務院の勧告に従います。
このような政府提出の法律案などについて審査し勧告する部門に加え、近時、報告・研究部が創設されました。
この部門は、年間活動報告書を作成し、研究の調整を行い、ヨーロッパ法の動向に眼を光らせて、国務院が下す決定の執行の局面での問題を注視しています。
この報告・研究部には、国際部門があります。

国際部門は、国務院と外国の行政裁判部門との協力を調整する役割を果たして
います。そのような協力関係は、国務院と多数の外国との間の二国間関係、そして、
行政裁判に関する国際組織(国際高等行政裁判機関協会、欧州共同体国務院及び最高行政裁判所協会)によってもたらされる多国間関係の2 つの枠組みにおいて促進
されます。

行政裁判

毎年、17 万の第一審行政裁判所の判決、
26,000 の行政控訴院の判決、
12,000 の国務院の判決が出されます。

行政裁判は、公法人と私人(個人、非営利社団、営利社団)間又は公法人同士間の係争について判断を下すもので、公的自由、行政警察、税金、行政契約、公務員の身分、公衆保健衛生、競争、環境権、開発・整備、都市計画など多くの類型が
あります。
行政裁判所の最上級審の裁判所として、国務院は、市民と公権力との関係において
心臓部に位置しています。
国の省庁、中央行政機関、地方公共団体そして行政施設による決定を取り消し又は
修正できるのは、行政裁判官だけです。
このように重要な政治的、社会的役割を有する行政訴訟の件数は、近年、年に 1 割近く増加しています。

第一審行政裁判所と 行政控訴院の管理

国務院は、42か所の第一審行政裁判所、8 か所の行政控訴院そしていくつかの特別
裁判所(難民認定裁判所など)を管理しています。

裁判官の管理のために、独立の諮問機関である行政裁判所高等評議会(CSTA)が
存在します。CSTA は、国務院副長官を長とし、国務院の構成員、中央行政機関の
長、互選された裁判官の代表者、3 名の有資格の専門家から構成されます。
CSTA は、行政裁判官の人事管理と、行政裁判と関わりをもつ法律案など全般に対して意見を述べます。
このような構成と使命を持つ CSTA は、行政裁判官にとって非常に大切な独立性、
すなわち行政裁判官の「不可動性、罷免されないこと、配置転換されないことなど」を保障します。

行政裁判所書記官の管理は、国務院と内務省が分担しています。
書記官を各行政裁判所に配置する権限は国務院が持っていますが、その公務員としての地位は、内務省に所属します。

国務院は、第一審行政裁判所と行政控訴院の予算管理も行います。とりわけ、裁判所の土地・建物と情報関連機器への予算の配分に重点を置いています。
裁判所施設の建替、拡張、改修計画は、数年来積極的に行われており、第一審行政裁判所や行政控訴院における訴訟書類の電子化も進められています。

国務院の構成員

国の主要機関である国務院には、試験により選抜された、また外部から登用された約 300 名のメンバーがいます。
毎年、優秀な成績を収めた国立行政学院(ENA)の卒業生に対して、平均して 5 名の国務院傍聴官(auditeurs) のポストが提示されます。
傍聴官は、4 年間で調査官(maîtres des requêtes)に、更に 12 年間で評定官(conseillers d’État)に昇進します。
昇進の尺度は在勤年数だけであり、そのことが独立性への重要な保障となります。

このような試験による選抜のほか、外部からの登用の途があります。
調査官 4 名のうちの 1 名、評定官 3 名のうち 1 名は、外部の人材から政府が
採用します。第一審行政裁判所と行政控訴院の裁判官の一定数は、国務院の提案により、外部から採用されます。
さらに、国務院は、4 年間の期限で特命評定官を任命します。
この特命評定官は、行政部門(政府に対して勧告する部署)にのみ配置され、争訟部門には配置されません。外部登用者と特命評定官によって、国務院は、
その経験と能力の多様性を確保しています。

国務院の構成員は、争訟部門(行政裁判所の最上級審)と行政部門(国に対する勧告機関)の両部門を兼任する場合もあり、一方と他方を交互に任ぜられる場合も
あります。また、大統領府や首相府、さらに各省庁など国務院の外で勤務することもあります。
評定官の中には、国際司法機関(国際司法裁判所、欧州司法裁判所、欧州人権裁判所など)で、裁判官として勤務することもあります。
また、休職して一定の期間私企業で働くこともあります。

国務院の職員

国務院には、利用者のためのサービス(受付、情報提供)、一般行政管理、人事(研修、福利)、予算・財務管理、情報通信システム、不動産・技術部門、
文書管理などのために約 350 名の職員(書記官と行政職員)がいます。
これらの職員の数は、30 年前は、150 名に過ぎませんでした。
以後、国務院は、勧告部門と争訟部門で倍以上の件数を扱うに至り、現在では、
第一審行政裁判所、行政控訴院そして難民認定裁判所を含め、約 3,500 名の行政裁判官と職員の管理も行っています。